「トラック適正化二法」により、荷主や利用運送事業者も規制対象に。

2024年問題として大きく認識されるようになった人手不足、EC台頭による物流量の爆発的増加など、このままでは2030年には、輸送能力の30%以上が不足すると推定されている運送業。

そんな運送業において、物流業界全体を改革することで抜本的に解決していこうと、昨年から相次いで成立、令和8年4月から順次施行が始まっているのが「トラック適正化二法」(トラック新法)です。

「トラック適正化二法」とは

そもそもトラック適正化二法とは、

①貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律
②貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律

の2つの法律をさして言います。①はもともとある「貨物自動車運送事業法」の改正法律であり、②は新たに出来た法律です。この二つの法律は、具体的な政策が決められている法律(①)と、その政策を実行するための体制整備が決められている法律(②)という関係性のため、二法として語られます。では具体的にどの部分で変わるのでしょうか。施行タイミングと合わせて表にまとめます。

番号具体的内容施行タイミング
【1】違法な白トラの利用に係る荷主等への規制令和8年4月1日
【2】委託次数の制限に係る努力義務(元請けをゼロとして、2次までに)令和8年4月1日
【3】貨物利用運送事業者(※)への書面交付等規定の準用令和8年4月1日
【4】トラック事業者の許可に係る更新制度の導入(5年更新)公布から3年以内
【5】国土交通大臣が定める「適正原価」を下回る運賃・料金の制限公布から3年以内

※貨物利用運送事業者とは→こちらのページ(下段)をご参照ください。

以上、大きく分けて5つの項目で変更及び新設され、うち3つは令和8年4月1日現在ですでに施行済みです。以下説明していきます。

【1】違法な白トラの利用に係る荷主等への規制

【施行】令和8年4月1日~

現行の法律では、白トラ(無許可で貨物運送事業を行うことの総称)への処罰対象は、運送した側のみであり、幇助や共同正犯等の共犯関係の場合でなければ荷主側は対象外でした。これにより適用範囲が狭くなってしまったり、共犯の立証の難しさなどから、結果として白トラ行為がなくならない状況が続いていました。
令和8年4月1日施行の改正法律では、たとえ共犯でなくとも、白トラであることを知っていれば荷主にも処罰が下されます(100万円以下の罰金)。これにより荷主側の関心や遵法意識が向上し、効果的に抑止力が発揮されることが期待されています。

【2】委託次数の制限に係る努力義務(元請けをゼロとして、2次までに)

施行】令和8年4月1日~

運送業の根本要因の一つに、多重下請け構造というものがあります。これに対して、真荷主から受けた貨物の運送については元請けをゼロとして、2次下請け(再々委託)までにとどめるための措置を講ずるよう努めなければならなくなります。あくまで努力義務ではありますが、具体的な委託次数が明文化されたことは非常に大きな意味があると考えます。

【3】貨物利用運送事業者への規定の準用

施行】令和8年4月1日~

 今まではあくまで実運送事業者のみの規定となっていた以下部分が、今後は貨物利用運送事業者へも準用されます。
 ・真荷主との相互の書面交付義務(※1)
 ・委託先への書面交付義務
 ・実運送体制管理簿の作成義務(※1)
 ・委託先への発注適正化に係る努力義務
 ・運送利用管理規程の作成義務、運送利用管理者の選任義務(※2)
 (※1)貨物利用運送事業者が元請となる場合に限ります。
 (※2)前年度の利用運送に係る貨物取扱量が100万トンを超える場合に限ります。

【4】トラック事業者の許可に係る更新制度の導入(5年更新)

施行】公布から3年以内(2028年度中目途)

本改正において最も大きな変更といえる運送業の更新制がいよいよ始まります。具体的な更新要件や運用ルール等は、②の新法に定められている独立行政法人にて今後策定されることになりますのでまだまだ見えない部分が多いですが、多くの専門家も言っているように、これによって白トラや名義貸し、など、一度取ればあとはネットワークのあるものが意のままにできた、運送業の悪しき風習に抜本的にメスをいれようとする動きだと捉えると、より厳密な制度が設計されることは容易に想像できます。
許可当初こそ細かく実行してきたものも、日が経つとどうしてもおろそかになるところですが、今一度許可時に求められたことが守られているかどうか、社内チェックを行ってみることをお勧めします。

更新開始は、あくまで”公布から”5年後です。

一点注意が必要です。具体的に文言で記載されいてるわけではありませんが、国交省のスケジュールグラフから察するに、実際の更新申請が開始されるのは、公布(令和7年6月11日)から5年後です。施行日から5年ではないのでその点注意しましょう。
例えば、2028年4月1日から更新制度の施行日が始まったとして、公布前から運送事業者の許可をお持ちの事業者様は、2030年3月31日までに更新を行う必要があると考えておきましょう。(2026年5月1日時点)

国土交通省「トラック適正化二法のポイント」から

【5】 国土交通大臣が定める「適正原価」を下回る運賃・料金の制限

施行】公布から3年以内(2028年度中目途)

トラック運送事業にかかる運賃及び料金について、燃料費や全産業を見たうえで設定された人件費、減価償却から委託手数料まですべて網羅されたうえで、国土交通大臣が告示として「適正原価」を設定します。

今までも、「標準的運賃」として同様の国土交通大臣の告示はありましたが、位置づけとしてはあくまで”参考価格”でした。今回の法改正により法的拘束力が一段上がったということになります。ちなみにこれにともないこの「標準的運賃」は廃止となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の法改正は、かなり大規模な改正となり、体制整備の新法も含めて実効性が一段あがった内容と言えます。さらに、法で制限される対象者もトラック事業者から、利用運送事業者や荷主まで広がりました。施行前のものはまだ詳細が明らかになっていませんが、運営の見直しは一足飛びにできることではありませんので、今から専門家などにも相談しながら自社の強みと弱みを分析し、対策を立てていきましょう。

当事務所は、運送業許可の各種申請を行っております。初回相談は無料ですので、運送業でお困りの方、ぜひご相談ください。

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